動物命名法国際審議会の新財務体制へのご支援のお願い

これまでの経緯

(1)“2013年財政危機” と支援委員会の発足

化石を含む動物の学名設立とその安定的な運用にかかわる全ては,分類学者や学名使用者一般の良識と自発的支持をよりどころに,国際動物命名法審議会(International Commission on Zoological Nomenclature,以下,審議会と略称)という国際組織がこれを担っています.すなわち,審議会は,国際動物命名規約(以下,規約)の著者としてその改訂作業を続けつつ,2005年に発足した学名や著作物登録のためのデータベースZooBankを運営するとともに,次々に付託される個別案件に裁定を下してその内容を年4回発行の公式定期刊行物Bulletin of Zoological Nomenclature(以下,BZN)に掲載するといった多岐にわたる重層的な活動を継続してきました.このような活動のすべてが,動物分類学者はもちろんのこと,動物の学名を使用するあらゆる団体や個人に多大な利益をもたらしていることは言うまでもありません.

審議会のこうした重要な活動を資金面で一手に支えてきたのが,動物命名法国際信託(International Trust for Zoological Nomenclature,以下,信託)という国際的な非営利組織で,日本動物分類学会や日本魚類学会をはじめとした世界各国の学術団体等が信託に毎年寄付をおこなうなどの支援を行ってきました.しかし,いくつかの試みにもかかわらず信託の慢性的な財政難は改善せず,2013年なかばには基金が尽きるという危機的状況に直面し,これを回避するために世界的に緊急募金が提起されました(詳細はPDF 学会誌掲載記事1参照).

これをうけて日本でも,日本動物分類学会のなかに,松浦啓一(委員長),マーク・J・グライガー(審議会コミッショナー)および西川輝昭をメンバーとする「動物命名法国際審議会支援委員会」が発足しました.この委員会を経由して,公益財団法人水産無脊椎動物研究所(2件計40万円,2,697ポンド)と日本生物地理学会(32,385円,200ポンド)からのご寄付を2013年8月までに信託に送金し,残金117円は日本動物分類学会の会計に繰り入れました(支援委員会内規に従い,同学会の会計幹事による会計監査済み;学会誌掲載記事2参照).また,東海大学出版会は,BZNへの広告掲載という形で協力されました.これら各位にあらためて謝意を表します.

(2)審議会の機構改革-信託との関係解消と審議会事務局のシンガポール移転

緊急募金活動と並行して,審議会では財政再建にむけた機構改革が議論され,おおむね以下の改革を実施することが,2013年11月に国立シンガポール大学(NUS)で開催された審議会の特別会議(Special Session of the Commission)で承認されました.この会議は26名のコミッショナーのうちグライガーを含む21名が出席するというかってない高出席率で成立し,5日間にわたって熱心な議論が交わされました(この会議では機構改革に関する議題だけではなく,命名規約改訂などについても多くの時間が割かれました).