これまでのシンポジウム

【2017年9月21日(木)】
テーマ:節足動物の特殊環境への進出を探る.—旅する分類学者,フィールドワーク危機一髪—
 昆虫のように節足動物の幾つかは陸圏で出現し,陸水を含む様々な生活環境へと進出することによって種の多様性を維持してきた.水圏に現れた節足動物のなかには陸上への進出を目指したものがいる一方,洞窟内の水圏陸圏には特殊な節足動物相が成立していることが知られている.節足動物がどのように様々な特殊環境へ進出したのか,その解明を行うべく,様々な生き物をもとめて様々な環境に旅をする分類学者がいる.本シンポジウムではバラエティ豊かな分類群と,特殊な環境での研究例を紹介することでこの謎に迫りたい.あわせて,演者の方々にはフィールドワーク中にあった危険な事象を紹介していただき,安全な学術調査手法に関する情報を共有しリスクを回避する機会にもしたい.
【2016年11月17日(木)9:00~11:00】
テーマ:沖縄の海の生物多様性を分類学から探る
 琉球列島海域は比較的高緯度にもかかわらず,黒潮の強い影響を受けるため高い水温が保たれ,サンゴ礁の発達など熱帯海域の特徴を示しており,古くから多くの海洋生物学研究者の調査対象になってきましたが,その多くはサンゴ礁域の生態学であり,その多様性を究明する系統分類学の研究は遅れていると言わざるを得えません. そこで本関連集会では,沖縄の海の多様性を語る上で,よく知られた動物群として魚類と貝類,そしてサンゴ礁域で優占する有藻性イシサンゴ類,逆に一般的ではないものの生態系の中では重要な役割を果たす分類群としてコケムシ類をとりあげ,実際に沖縄をフィールドとして各動物群の分類学的研究を行ってきた研究者に,その研究成果を通して沖縄の動物相を紹介して頂き,沖縄の海洋生物の多様性について議論したいと思います.またこれらの講演を通して様々な分野で海洋生物に関わる方々に,生物多様性の保全における系統分類学の重要性を共有して頂くとともに,系統分類学の推進に寄与することを期待しています.
会 場:沖縄コンベンションセンター(沖縄県宜野湾市)
世話人:野中正法(沖縄美ら海水族館),藤田敏彦(国立科学博物館)
演 題:
  1. 「沖縄の多様な海底環境に支えられたコケムシの種および生活様式の多様性」 広瀬雅人(東京大学大気海洋研究所)
  2. 「イシサンゴ分類の現状と日本造礁サンゴ分類研究会の取組」 座安佑奈(沖縄科学技術大学院大学)
  3. 「南西諸島の内湾域における貝類多様性とその保全上の課題」 久保弘文(沖縄県水産海洋技術センター)
  4. 「琉球列島に分布する沿岸性魚類の生物地理学 - インド・西太平洋区要素と東アジア区要素」 吉野哲夫((一財)沖縄美ら島財団総合研究センター)
【2015年9月17日(木)18:00~20:00】
テーマ:分類学と古生物学の融合:現生種と化石種による海産無脊椎動物の系統分類学的研究
 従来,古生物学者は過去の記録である化石を用いて系統を推定してきたが,化石を解釈するにあたって現生種との比較を行ってきた.一方,現生の種を対象とした分類学者は,分類体系を明らかにするために分子系統解析により過去の系統を推定しようとしているが,系統樹を正しく解釈し時間軸を取り入れるために化石記録を用いている.このように,近年は古生物学と分類学との境界がなくなりつつあり,系統分類や進化の研究には現生種と化石種,双方の研究が欠かせないと言える. そこで本シンポジウムでは,海産無脊椎動物の多様な動物群から,刺胞動物(単体サンゴ類),軟体動物(穿孔性二枚貝類),節足動物(貝形虫類),棘皮動物(クモヒトデ類)を選び,現生種と化石種の両方を研究対象としている古生物学者や分類学者に話題を提供してもらう.両者を用いることで明らかとなった系統分類や進化についての最新の研究成果を交え,今後の系統分類学的研究における,分類学と古生物学のさらなる融合の可能性について議論したい. また,古生物学者と分類学者のそれぞれが用いている研究技法についても触れて頂き,情報交換の場とするとともに,異なる海洋環境へ適応してきたそれぞれの動物群の進化史を比較することにより,海産無脊椎動物の多様な系統進化の姿を楽しみたい.
会 場:新潟朱鷺メッセ(日本動物学会第86回大会関連集会)
世話人:藤田敏彦(国立科学博物館)・岡西政典(京都大学)
演 題:
  1. 単体サンゴの生活様式の変化がもたらす形態多様性 徳田悠希(鳥取県立博物館)
  2. 貝形虫類(甲殻類)からみた分類学と古生物学の繋がり 田中隼人(広島大学大学院生物圏科学研究科)
  3. 穿孔性二枚貝ニオガイ上科の適応放散史―分子系統・化石記録から形態・食性進化に迫る― 芳賀拓真(豊橋市自然史博物館)
  4. クモヒトデ綱(棘皮動物門)の進化を探る:系統分類,行動生態,古生物学的手法を用いた試み 岡西政典(京都大学・瀬戸臨界実験所)
【2014年9月11日(木)18:00~20:00】
テーマ:博物館標本の新しい価値~新しい自然史博物館を~
 自然史博物館の現代的意義とはなにか。大学の研究者のなかで,標本を利用し研究をしている割合はわずか2%しかいない,といわれる。自然史標本の重要性を理解していても,その価値を直接評価する人はごくわずかである。 しかし,標本を活用した新しい研究は次々と打ち出されている。たとえば,生物規範工学として体系化された生物模倣は,生物のもつ様々なデザインを工学研究者たちが探す新しい学問分野だ。その規範となるデザイン・サンプルは,すべて博物館に揃っている。生物模倣は,新しい自然史標本の価値を創り出し,新しい自然史系博物館の時代の到来を実感させる。また,3DやCTスキャンを利用した新しいデジタル技術も生物研究を活性化させつつある。 このように新技術と標本が融合した新しい博物館像を構築するために,求められるのは“戦う博物館”,“発信する博物館”の存在であり,その機能をもつ中核的な組織の構築が強く望まれている。
会 場:東北大学川内北キャンパス(日本動物学会第85回大会)
世話人:島野 智之(法政大学・自然科学センター)
演 題:
  1. 趣旨説明 馬渡 峻輔(北海道大学名誉教授)
  2. 自然史標本の新しい研究技術と自然史博物館構想 西 弘嗣,佐々木 理,鹿納 晴尚(東北大学総合学術博物館)
  3. バイオミメティクスには分類学と生物標本が必要 下村 政嗣(千歳科学技術大学)
  4. バイオミメティクス・データ検索による生物形態の類縁性の可視化とその産業応用 長谷山 美紀(北海道大学大学院情報科学研究科)
【2013年9月26日(木)18:00~20:00】
テーマ:臨海実験所と動物学研究
 日本各地に大学等の臨海実験所が存在し、臨海実習等の教育活動を行う一方で精力的な研究活動が行われており、研究材料提供、外来研究者の研究機器、船舶の利用などとあわせ、動物学分野の発展においても歴史上大きな推進力となってきた.本シンポジウムにおいては、臨海実験所に所属している方々のうち、動物分類学、系統学、生活史に関連した研究等を精力的に行っている方々に話題を提供していただき、動物学研究のさらなる発展について考えていきたい.
会 場:岡山大学津島キャンパス
世話人:益田 芳樹(川崎医大)、秋山 貞(岡山大学)
演 題:
  1. 日本のギボシムシ研究史と臨海実験所 浦田 慎(広大・院生物圏・竹原ステーション)
  2. 瀬戸臨海実験所での教育と研究における分類学の重要性 岡西 政典(京大・瀬戸臨海)
  3. 日本海の生物はいつ・どこから来たのか~舞鶴水産実験所における自然史研究と教育 甲斐 嘉晃(京大・フィールド研)
  4. 東京大学三崎臨海実験所における技術職員の役割ー技術職員による研究成果ー 幸塚 久典(東大・三崎臨海)
【2012年9月13日(木)18:00-20:00】
テーマ:分類学を基盤とした動物学
 日本分類学会の関連集会として、カイメン、イタチムシ、ヒル、およびコケムシを対象に種分類を行っている気鋭の若手研究者の方々に、それぞれの研究材料へのこだわりや研究内容を紹介していただきます.分類学は発見の学問でもあり、その研究過程で、たびたび進化、系統、および生態など諸分野に関する研究の手がかりを見出すことがあります.本関連集会では、若手研究者の方々が研究過程で発見した動物学上興味深い現象についても述べていただきます.
会 場:大阪大学豊中キャンパス
世話人:古屋秀隆(大阪大学)
演 題:
  1. 東アジア産巨食性ヒル類の多様性研究 中野隆文(京都大学大学院理学研究科)
  2. 日本で見られる様々なイタチムシ 鈴木隆仁(大阪大学大学院理学研究科)
  3. 分類学に基づいた動物学?海綿動物を例に 伊勢優史(東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所)
  4. 動物学の原点と終着点としての分類学 -博物館におけるコケムシ研究から- 広瀬雅人(国立科学博物館)
【2011年9月21日(水)18:00-20:30】
テーマ:日本産哺乳類の系統地理
 日本動物分類学会会員が専門とする分類群は多くの場合無脊椎動物であり、四足動物それも哺乳類を専門にして活発に活動している学会員は数えるほどしかいない.また、研究分野としての系統地理学は分類学と密接に関連しているものの、系統地理学的手法を前面に押し出して研究を行っている学会員も決して多数派ではない。今回は多くの学会員にとってなじみの薄いであろう「哺乳類の系統地理」をシンポジウムのテーマに据え、近くてい遠い分類群/学問分野の研究最前線を勉強する機会にしたいと考え、この集会を企画した.
 我が国に生息するとされる約170種の哺乳類はどのようなルートで大陸からやってきたのか、また国内においてどのように分布を拡大し、遺伝的に多様化してきたのかについて、近年の活発な研究によりその全貌が明らかになりつつある.今回のシンポジウムではさまざまな日本産哺乳類を材料に研究を行っている気鋭の若手研究者6名に研究内容を紹介していただき、現状の問題点と今後の課題を述べていただく.
会 場:神楽公民館(神楽市民交流センター)2階講座室
世話人:柁原 宏(北海道大学大学院理学研究院)
演 題:
  1. 機能遺伝子周辺ハプロタイプ構造解析法による浸透交雑と自然選択の検出 鈴木仁(北海道大学環境科学院)
  2. クロテンおよびニホンテンの毛色関連遺伝子を用いた系統地理学的研究 石田浩太郎(北海道大学環境科学院)
  3. 北海道産ユキウサギの集団史と分子系統学的位置づけ 木下豪太(北海道大学環境科学院)
  4. 日本産トガリネズミ類の分子系統と系統地理学ーユーラシアにおける位置づけ 大舘智志(北海道大学低温科学研究所)
  5. 日本産リス科動物の進化的歴史ー各々の属そして種が示す動物地理学的特徴の形成過程を考える 押田龍夫(帯広畜産大学野生動物学研究室)
  6. 北から見たブラキストン線の最前線 増田隆一(北海道大学大学院理学研究院)
【2010年9月23日(木)18:00-20:00】
テーマ:変貌する動物命名規約ー学名の安定にむけて
 動物の学名の命名や運用を定めた『国際動物命名規約』の改訂新版(第5版)作成に向けた議論がすすんでいます。学名を利用する多くの方々にその核心部分を知っていただくとともに、質疑応答や議論を通じて、21世紀において学名が果たす役割についての理解を深めるために、この集会を企画しました.正確な情報伝達や情報検索のためには、動物学的実体と一対一に対応した学名が、将来にわたって安定的に維持される必要があります、そのための装置が『国際動物命名規約』です.しかし、生物多様性を把握して保全するために膨大な未知種を精力的に新種記載しなければいけないという社会的要請のもと、「紙にインク」という伝統的な出版環境が大きく揺らいでいる今、『国際動物命名規約』は解決すべきいくつかの難問に直面しています.問題解決に向けた試みの一端を紹介する基調講演をうけて、コメンテーターやフロアとの議論によって、論点を更に深めたいと考えています.
会 場:東京大学駒場キャンパス107番教室
司会:西川輝昭(東邦大学)
コメンテーター:
 柁原 宏(北海道大学)
 上島 励(東京大学)
世話人:
 野田泰一(東京女子医科大学)
 西川輝昭(東邦大学)
基調講演:
 野田泰一(東京女子医科大学)
『国際動物命名規約』の現行版である第4版が発効してから10年以上が経過し、その間に、情報通信環境が激変した。現在、『規約第5版』に向けて検討が行われているが、その大きなテーマは昨今の通信環境をどのように利用するかであり、電子出版と新学名の登録制についての議論が活発に行われている。今回は、まず、現行規約である第4版が何を提案したのか、提案のどれが採択されどれが採択されなかったのかを当時の時代背景と合わせて振り返りながら、命名規約のこれまでのありかたについて述べる.そして、第4版に採用されずに持ち越された課題である学名登録制度と今回新たに提案された電子媒体のみによる著作物の許容について、昨今の議論を紹介する.
【2009年9月17日(木)17:30-】
テーマ:隠蔽環境の生物多様性 -- 発見の科学と生物進化の実験場 --
 私たちの視線を遮る隠蔽された世界にも様々な生物が生息していることが知られています.しかし,これらの生物に関する情報はまだあまりにも少ないといえましょう.これら隠蔽環境に生息する生物については,私たちは未だ大航海時代,博物学の時代にあるといえます.すなわち私たちにとって,新分類群の発見はもとより,新たな生物学的知見を増大させることができるという,純粋な好奇心を満たせる世界であるといえます.同時に,光の遮断,狭い空間,貧栄養等,一定の環境的制約下における生物は,様々な形態学的・生態学的特性を備えており,生物進化を理解する上で多くのヒントをもたらします.
 ここではまず,ベテラン組から「発見の科学」として,間隙環境,海底洞窟,土壌中,そして太古の海底洞窟の化石生物にまで眼をむけ,生物多様性に関する既成の概念を塗り替えるような,隠蔽環境に生きる生物の実態を紹介します.また,大学院生からは「進化の実験場」として,隠蔽環境ではどのような進化の様式が見出されるかを,彼らが導き出した最新データから議論します.さらにもし可能ならば,隠蔽環境に生息する生物の研究が,「化石からDNAまで」を包括的に扱う総合的な生物科学として発展しうるか,というポテンシャルについても見極めてゆきたいと考えております.
会 場:静岡グランシップ
世話人:塚越 哲(静岡大学理学部)
演 題:
  1. 間隙生物の多様性 −貝形虫類(甲殻類)を例に−:塚越 哲(静岡大学・理学部)
  2. 海底洞窟と近底層における生物の多様性とその進化:大塚 攻(広島大学・院生物圏科学)
  3. 土壌のbioturbation −土壌生物の多様と土壌構造の関係−:金子信博(横浜国立大学・院環境情報)
  4. 隠蔽環境の化石動物種群 −4.5億年前の石灰泥丘型礁を例に−:鈴木雄太郎(静岡大学・理学部)
  5. 分子系統解析からみえてくる動物の“間隙性化” −シセレ上科貝形虫類を例に−:東 亮一(静岡大学・院創造科学)
  6. 小型甲殻類における目の退化:梶 智就(静岡大学・院創造科学)
  7. 間隙性動物における性選択と進化:田中隼人(静岡大学・院創造科学)
【2008年9月5日(金)9:30-12:30】
テーマ:過去からの声:動物化石分類の現状と課題
 日本での動物化石の分類学的研究は研究者の数が少ないこともあり、出版される論文の数も必ずしも多いものではない。大学においても戦前、戦後を通じて多くの研究者が収集、研究して来た標本の保存場所が問題となっている。他方この20年間地方に博物館が多く建設され、多量の海外の良質な動物化石標本が集積されて来たが、それらの大部分は研究されないまま展示、収蔵されている。今回のシンポジウムでは各自の専門分野の日本における現状を分析把握して、その問題点、今後の課題を述べていただく。
会 場:福岡大学
世話人:上田恭一郎(北九州市立博物館)
演 題:
  1. 杦山哲男・杉原薫・木戸絵里香(福岡大学)刺胞動物化石の分類と課題
  2. 上田恭一郎(北九州市立自然史・歴史博物館)昆虫化石の現状
  3. 籔本美孝(北九州市立自然史・歴史博物館)魚類化石分類の問題点
【2007年9月20日(木)18:00-21:00】
テーマ:淡水無脊椎動物の分類と社会との接点
 近年、身近な水辺への関心の高まりを受けて、専門家だけでなく、一般市民や子どもが淡水動物の分類に触れる機会が増えている。また、淡水動物の分類の知見は水環境を評価する際にもしばしば応用される。このシンポジウムでは、分類研究の応用事例やその際の問題点などについて,さまざまな立場から淡水無脊椎動物の分類研究に取り組んでいる演者による話題提供を受け、分類と社会や教育との接点について幅広い議論をしたい。
会 場:弘前大学(弘前市)
企画責任者:大高明史(弘前大学)
演 題:
  1. 大高明史(弘前大学)淡水動物分類研究会の取り組み -- 淡水無脊椎動物に関する分類研究の成果の統合や公開、情報交換などを目的として、分類学者を主体とした「淡水動物分類研究会」を2000年に組織した。研究会で行ってきた活動のうち、1)日本産淡水動物の分類情報の公開、2)分類標本の所在調査と適切な管理に向けた取り組み、3)同定のワークショップなどについて紹介する。
  2. 谷田一三(大阪府立大学)分類学と応用生態工学 -- 河川法の改正で、環境が河川管理の目標に入ってから、河川における生物多様性の把握と保全は重要な環境目標になった。河川水辺の国勢調査は、この現状把握のための大プロジェクトである。この国土交通省が主導する調査と分類学の社会的要請とを中心に話題提供をする。
  3. 高島義和(北海道富良野市)淡水動物の同定について -- 環境についての関心が高まる中、分類学を専門に研究したことのない人々が淡水動物の同定にかかわる機会が増えてきた。しかし、提出される同定結果には、必ずしも信頼のおけない部分も散見されるのが現状である。淡水動物の同定に関する問題点を指摘し、改善策を提案する。
  4. 倉西良一(千葉県立中央博物館)生物多様性と分類学 -- 私達をとりまく環境問題として『生物多様性』の劣化が大きく取り扱われるようになってきた。『生物多様性』の概念の構造、問題の所在について解説し、『生物多様性』の具体的な問題と分類学がどのような接点を持つかについて話題を提供したい。
【2006年9月21日(木)18:00-20:00】
テーマ:生物多様性ホットスポットとしての中国山地:動物の地理的分化・種分化・交雑帯
高山に乏しく里山としての利用が目立つ中国山地(中国地方〜近畿地方北部)は,生物地理学的にはその近接からウスイロヒョウモンモドキやキビノクロウメモドキといった大陸系の動植物がやや目立つところという程度にしか注目されてこなかった.しかしながら,当地では非常にはげしい地理的種分化(地表性のクモ)や種内の外部形態形質や染色体数の地理的分化(ザトウムシやカワトンボ,フキバッタ,ジョウカイボン)がおきていることが近年ぞくぞくと明らかになってきた.また,ブナやシカ,サルなどの哺乳類,両生類などでなされた最近の分子系統地理学的研究でも,中国地方の東西でかなりの系統分岐が生じていること明らかにされており,この地域の生物地理はかつてない注目を浴びつつある.琉球列島などの島嶼部では得られにくい交雑帯が豊富に存在することも種分化過程や種分化により生起した2種の共存の過程を研究するには好都合である.
 本シンポでは,この地域にすむ動物を材料として分類や地理的変異,系統地理にかかわる研究をされている方に,その概略をご紹介いただき,それらに共通する歴史や要因の洗い出しを試みることを目指している.
会 場:島根大学松江キャンパス(松江市)
世話人:鶴崎展巨(鳥取大学)・川上 靖(鳥取県立博物館)
演 題:
  1. イントロ:地理的分化のホットスポットとしての中国山地 -- 鶴崎展巨(鳥取大・地域)
  2. セトウチフキバッタParapodisma setouchiensis(直翅目バッタ科)の各地理型間にみられる「移行帯」とその形成過程の推定 -- 川上 靖(鳥取県立博物館)
  3. 中国山地におけるナミハグモ属とヤミサラグモ属の交尾器形態の多様化と地理的分化のパタン -- 井原 庸(広島県環境保健協会)
  4. (日本列島のネクイハムシの歴史生物地理からみた中国地方の位置づけ) -- 曽田貞滋(京都大・院理・動物)
  5. 両生類から見た中国山地 -- 松井正文(京都大学大学院人間・環境科学研究科)
【2005年10月6日(木)16:00-18:00】
テーマ:120年でわかった相模湾の豊かな海産動物相
今からおよそ120年前,デーデルラインによって豊かな動物相が発見されて以来,相模湾では,ドフライン,昭和天皇と多数の研究者によって分類学的な調査研究が行われ.分類学的に重要な多くの海産動物が国内外の研究者によって記載されてきた.また,その豊かな動物相を背景に三崎には東京大学の臨海実験所が設立され,分類学に留まらず様々な動物学分野において多数の重要な発見がなされてきた.国立科学博物館で平成13年度よりプロジェクト研究「相模灘およびその沿岸地域の動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明の調査研究」を開始し,海洋生物に関しては博物館内外の約40名の研究者によって,既存の標本の徹底的な調査ならびに新たに精力的な採集を行うことにより,相模湾の海産動物相の全貌をあきらかにしつつある.本シンポジウムでは,このプロジェクト研究の成果も踏まえ,これまで相模湾から報告されてきた動物学的に重要な数多くの発見と,現在行われつつある新たな研究とを各演者から紹介して頂き,120年の研究によって明らかとなってきた世界有数の動物相を誇る相模灘の海産動物の高い種多様性を再認識し,今後の研究の方向性を探ってみたいと思う.また,今回のプロジェクト研究で取り上げている過去の調査の標本の果たしている役割について考え.博物館標本の有用性について議論する場としたい.
会 場:つくば国際会議場(つくば市)
世話人:藤田敏彦・並河 洋・武田正倫(国立科学博物館)・赤坂甲治(東京大学)
演 題:
  1. 相模湾調査史ー相模灘調査プロジェクトの紹介とシンポジウムの趣旨説明 -- 藤田敏彦(国立科学博物館)
  2. 十脚甲殻類ー過去の遺産と新知見 -- 駒井智幸(千葉県立中央博物館)
  3. 昭和天皇のご研究とヒドロ虫類 -- 並河 洋(国立科学博物館)
  4. エノコロフサカツギの正体を求めて -- 西川輝昭(名古屋大学)
  5. 相模湾の豊かな生物相を生かしたゲノムバンクプロジェクト -- 赤坂甲治(東京大学)
  6. 相模湾の豊かな海産動物相ー過去の記録としての標本研究と現在の動物相調査(総合討論) -- 武田正倫(国立科学博物館,日本動物分類学会会長)
【2004年9月9日(木)17:00-20:00】
テーマ:海産無脊椎動物分類学の現場—その現状,問題,取り組み
会 場:甲南大学(神戸市)
世話人:柁原 宏(北海道大学大学院理学研究科)
演 題:
  1. 海綿動物の分類学的研究の現状:第1部 海綿動物について -- 伊勢優史(東京大学大学院理学系研究科)
  2. 海綿動物の分類学的研究の現状:第2部 海綿動物を用いた系統地理的解析 -- 星野幸弓(東京大学大学院理学系研究科)
  3. 問題の山は宝の山? 沖縄の多様過ぎる海産無脊椎動物の分類にいかに取り組むか -- 伊勢戸 徹(京都大学総合博物館)・藤田喜久(琉球大学大学教育センター)
  4. 海産ミズムシ亜目等脚類—その分類と多様な形態— -- 下村通誉(北九州市立自然・歴史博物館)
【2003年9月17日(水)】
テーマ:ミズナラを取り巻く生物群集をモデル系とした生物多様性インベントリーと生態的分類
会 場:函館大学(函館市高丘町)
世話人:片倉晴雄(北海道大学大学院理学研究科)
演 題:
  1. フィールドステーションにおける生物多様性研究の展開 -- 日浦 勉(北大・北方生物圏フィールド科学センター)
  2. 博物館の立場から見る生物多様性研究:フィールドワークと分類学の架け橋 -- 大原昌宏(北大・総合博物館)
  3. 森林土壌生態系における生物多様性(機能群)と生態系機能との関係 -- 金子信博(横浜国大・環境情報研究院)
【2002年9月25日(水)】
テーマ:動物分類学の復権をめざして -- 大学付置研究施設における研究と教育の現状
会 場:金沢大学角間キャンパス総合教育棟
世話人:笹山雄一(金沢大学自然計測応用研究センター),武田正倫(国立科学博物館)
【2001年10月6日(土)】
テーマ:生物分類データベースの現状と展望
会 場:九州産業大学1号館
集会名:生物データベース・ジョイントワークショップ
共 催:生物情報チーム
世話人:多田内 修(九州大学大学院農学研究院)
演 題:
  1. GBIFの紹介と生物多様性データベースのあり方について -- 月井雄二(法政大・自然科学センター・生物)
  2. 日本ショウジョウバエデータベース(JDD)について -- 山本雅敏(京都工繊大・ショウジョウバエ遺伝資源センター)
  3. 日本分類学データベース(DBTJ)の概要 -- 酒井勝司(四国大)
  4. 昆虫学データベース(KONCHU)について -- 多田内 修(九大大学院・農学研究院)
  5. 分類以外の切り口で多様性をとらえるデータベースの可能性について -- 木原 章(法政大・自然科学センター・生物)
  6. 生物関連データベースのサポート -- 鵜川義弘(宮城教育大学・環境教育実践研究センター)
【2000年9月21日(木)18:00〜20:00】
テーマ:(日本動物分類学関連学会連合設立記念談話会)
会 場:東京大学教養学部(東京都目黒区駒場)
世話人:松浦啓一(国立科学博物館分館)
演 題:
  1. 学会と学会連合の問題点 -- 武田正倫(国立科学博物館)
  2. 国際動物命名規約第4版日本語版の出版 -- 西川輝昭(名古屋大博物館)
  3. 学会誌の将来展望 -- 友国雅章(国立科学博物館)
  4. 総合討論 -- 司会:松浦啓一(国立科学博物館)
【1999年9月27日】
テーマ:動物標本・標本調査・博物館 -- 海外の自然史博物館での現地調査から考える
会 場:山形大学教育学部(山形市小白川町)
世話人:西川輝昭(名古屋大・院・人間情報)
演 題:
  1. ライデン博物館などにおける標本保存─シーボルト・コレクション調査こぼれ話─ -- 山口隆男(熊本大・理・臨海)
  2. ヨーロッパの自然史博物館に所蔵されているアジア産爬虫類タイプ標本の調査から -- 疋田 努(京都大・院・理)
【1998年9月26日(土)17:15〜19:15】
テーマ:交雑帯研究の最前線:種分化過程から形質置換まで
会 場:広島大学総合科学部(東広島市鏡山1-7-1)
世話人:鶴崎展巨(鳥取大・教育・生物) ・大塚 攻(広島大・生物生産・水産実験所)
演 題:
  1. オオヨモギハムシ種群の交雑帯 -- 片倉晴雄(北海道大・院理・系統進化)
  2. 種の幻影:陸貝の異種間交雑と遺伝子浸透 -- 千葉 聡(静岡大・理・生物地球環境科学)
  3. 交尾選好性の形質解放と形質置換による種分化のダイナミクス -- 吉村 仁(静岡大・工)
【1997年10月2日(木)18:00〜20:30】
テーマ:動物分類学者は生物多様性の問題にどう取り組んでいるのか -- 脊椎動物分類学者の立場から
会 場:奈良女子大学(奈良市北魚屋西町)
世話人:松井正文(京都大院・人間・環境)
演 題:
  1. 魚 類 -- 中坊徹次(京都大・総合博)
  2. 爬虫類 -- 疋田 努(京都大院・理・動物)
  3. 哺乳類 -- 金子之史(香川大・教育)
【1996年9月18日(水)18:00〜20:00】
テーマ:分類学者はガイアリスト21にどう対処すべきか
会 場:かでる2.7(札幌市北区北2条西7丁目)
世話人:馬渡峻輔(北海道大・院理・生物)
演 題:
  1. 生物多様性研究とDIVERSITAS -- 戸田正憲(北海道大・低温研・寒冷圏総合科学)
  2. ガイアリスト21の全貌 -- 片倉晴雄(北海道大・院理・生物)
【1995年】
テーマ:(名誉会員の先生方を囲んで)
会 場:東京都立大学
世話人:武田正倫(国立科学博)・山崎柄根(東京都立大・理)
講 演:朝比奈正二郎,今村泰二,波部忠重
【1994年10月5日(水)】
テーマ:『枚挙』の光と影 -- 記載的分類学の重要性をめぐって
会 場:名古屋大学理学部
世話人:西川輝昭(名古屋大院・人間情報)
演 題:


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